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行き当たりばったりでTVをつけたら、「クイズ番組」が放送されていた。日常の生活シーンの中で、そんな経験はどなたにもあることだろう。今、TV業界は空前のクイズ番組ブームと云っていいのではないか。出題の内容に趣向を凝らし、一癖も二癖もある著名な解答者を並べて、視聴者の知性をちょっとだけ刺激する。
クイズ番組にかかる費用は、大雑把に言うと、クイズ作家と出演者のギャランティー。スタジオのセットも簡素なものでOKだし、クレームも炎上も少ない。その上、ある程度の数字(視聴率)が見込める。巨大化したネット配信に押され、弱体化した地上波テレビ局の苦しい台所事情を思えば、クイズ番組は「救世主」のような存在と言える。
視聴者の立場からすると、テレビを見て時間を無為に過ごしている、という罪悪感からちょっとだけ解放される。最近のクイズ問題は、すぐに生活に役立つものばかり。簡単に知識を身に付けることが出来るし、雑談の際に重宝することは間違いないだろう。
書店で「平置き」されている本。それは、売れると期待されている本である。平置きの本の中には、必ずと言っていいほど “ハウツー本” が混じっている。ハウツー本とは、初心者が慣れないことをする際の助けとなる「大まかな指示書」のことを云う。恐らく皆さんも1度は手にしたことがあるはずだ。最近は人生を変えるような啓示を与える本など、ハウツー本の種類は多岐にわたる。
では、何故ハウツー本は人気なのだろう。第一に考えられるのは、本を読んだだけで知識が身に付いたというお得感が何よりの魅力と言えよう。次に考えられる理由は、「自分のための本」だと思わせるタイトルが多いことだ。例えば、『30歳までにやりたい100のこと』『定年を1年後に迎える人のために』など、現代のハウツー本はターゲットを絞っているのが特徴である。また、本を読みきった後で得られる達成感が、他の本よりも大きいことも挙げられよう。4つ目の理由が最も本質的なのだが、悩み多き現代を生きる人間に「ピタッと寄り添える」ハウツー本が必ず存在するということ。それだけハウツー本のジャンルが多岐にわたるということだろう。
クイズ番組とハウツー本。両者のどんな点が時代に好かれたのだろうか。一言で言うと、両者の “簡単・便利” なところが、何かと忙しない現代社会のニーズにピッタリ合致しているのだろう。
番組製作側からすると、クイズ番組の手軽さは、セット1つとってみても明白である。例えば「ドラマ」と比較してみよう。ドラマはストーリーによって、屋内だったり、屋外だったり、海外ロケなんてケースも出てくる。クイズ番組は、殆どの場合、スタジオセット1つで事足りる。ドラマとクイズ番組では、番組制作に関わるスタッフの人数に差がある。ドラマの場合、役者は勿論のこと、原作者、脚本家、演出家、衣装スタッフ、照明スタッフ等々、数多くのその道の専門家が、それぞれのポリシーを持って1つのドラマを創るために集結する。一方、クイズ番組は、クイズ作家と出題者と解答者。至ってシンプルである。
本というものは、人が生きる上で「指針」になるものだと思う。すぐには効かなくても、じわじわと確実に効いてくる「内服薬」のようなものだと確信を持ってそう思う。中でもハウツー本は、例えるならば内服薬ではなく、点滴でダイレクトに体内へ注入する即効性の薬に例えられるのではないか。つまり読んだ端から、貴方の “人生そのもの” に効いてくるのだ。
コミュニティ系RPGオンラインゲーム『MILU』の雰囲気は、癒やされるというか、冬の日、温かいお風呂に入ったときのような、静かな解放感に満ちている。あの心地よさの源はどこにあるのだろう。1日に何回ものリコメ、魚を何匹釣って、竿のチューニングも頑張って、調合にも精を出す。そんな適度にストレスが掛かっている、決して簡単便利じゃ無い状態に身を置くことで、逆に気持ちが伸びやかになっていくこともあるかもしれない。
Writer:ひねもす