画像出典／Pixabay https://pixabay.com/
歌にもあるように、何故だか人は、上を向いて歩くことを推奨する。やはり、〚上＝前向き、下＝後ろ向き〛、というイメージがあるのだろうか？ でも、時には下を向いて歩こう。「マンホール」という名の、「アート作品」に出会えるかもしれないから。
マンホールと云えば、（丸い灰色の蓋）というイメージをお持ちだろう。ところが、およそ1980年代頃から、 “デザインマンホール” と呼ばれる、ご当地の名産品や、ゆるキャラなどが色鮮やかにデザインされたマンホールが、各都道府県で量産されるようになった。これには、下水道のイメージアップを図りたいという国土交通省の目論見があったようだ。
その目論見は大成功を収めた。マンホールの写真を収集したり、SNSにアップするなどの活動をする “マンホーラー” と呼ばれる人々も出現したほどである。さらには、全国のマンホーラーが一堂に会する “マンホールサミット” なるアカデミックな催しも、平成26年から始まり、ブームを牽引している。昨年行われた『マンホールサミットin北九州』には、過去最多の約5,000名のマンホーラー諸氏が集結する盛況ぶりだった。
マンホーラーが一挙に増えたのは、 “マンホールカード” の出現によるところが大きいであろう。マンホールカードとは、読んで字のごとく、マンホールをカード化したものである。大きさは、ほぼ免許証やキャッシュカード位。カードの表面には、マンホールの写真と位置情報が、裏面にはデザインの由来が、それぞれ記載されている。
マンホールカードの多くは、各自治体の「上下水道課」で配布されている。有り難いことに、無料だ。ただし入手する際に、電話などでの予約等は出来ないので、地道に「現地」まで足を運んでゲットするしかない。もう既に、全国で539種類のカードが発行され、累計で約414万枚のカードが世に出ている。マンホールの位置情報や詳細情報がわかる、スマートフォンアプリを駆使して、お気に入りの図柄のマンホールを見つけよう！ そして、そのお気に入りのマンホールに会いに旅に出よう！
ここまで書き記してきて、筆者は以前に執筆した「御朱印ブーム」のことを思い出した。「マンホール」と「御朱印」、この２つのブームは似ている点が多い。まず第一に、マンホールカードも御朱印も、直接「現地」へ足を運ばないと手に入らないということ。
第二に、どちらも入り口は、 “集めること” 。そこで終わっても充分楽しい趣味である。だが、もう一歩先へ足を踏み入れて、そのマンホールに纏わる地域の歴史も併せて知る。または、御朱印をいただいた神社仏閣の謂れも併せて知る。すると、きっとその趣味の味わいは、深く複雑になるはずだ。
同じ趣味を持つ者同士の「交流の場」を設けることは、趣味を長く続けていく秘訣と云っていいのではないか？ マンホーラーたちは、マンホールサミットで情報交換をしている。
コミュニティ系RPGオンラインゲーム『MILU』でも同じようなことが云えるのではないか？ 最初の頃は、魚釣りや採集、リコメをたくさん集めたり……と、「数」を追い求めるのが楽しくて仕様がなかった。それも充分楽しいことではあるのだが、ちょっと時間が経ってくると、私はもっと「人」と関わりたいと考えるようになった。
その頃、「マイページ」の存在を知った。マイページとは、自分専用のSNSページのことで、「書く」ことにさほど抵抗のない私は、これぞ私の「コミュニケーションツール」とばかりに「MILU日記」を書いてはアップしている。そして「ミルトモ」の日記に積極的にコメントしている。これこそ私が見つけた、私にとって一番ラクな「人との繋がり方」なのだ。「趣味」とは、人と繋がる理由を常に探している大人のための、簡単便利なツールのような気がしてならない。
Writer:ひねもす
