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“御朱印ブーム” が起きてから、もう何年くらい経つだろうか？ 御朱印とは、お寺や神社をお参りした証の印のこと。この御朱印を、専用の御朱印帳に拝受して頂き、大切に所持し、時折り見返して「旅の思い出」に浸ったりして楽しむのだ。私も遅まきながら、御朱印ブームに乗っかりそうな気分である。
何に惹かれたかと聞かれれば、やはり御朱印の「見た目」だろうか。御朱印は基本的に印刷物ではない。白い和紙に手書きの墨文字と鮮やかな朱印。このデジタル時代に、貴方がお参りしたその日に、手に入れた御朱印と貴方とは《一期一会》の関係なのだ。
御朱印ビギナーの私が、御朱印をゲットするためにまずするべきこと。それは自分の住む地域で御朱印を頂ける寺社を調べることである。中には、頂けない寺社もあるので、下調べは必須だ。
と同時に、御朱印帳も用意しておこう。最も一般的なのは寺社で頒布されている御朱印帳を買い求めること。その寺社のオリジナルデザインの御朱印帳と出会えるだろう。言わずもがな、であるが御朱印を持つということは、その寺社と縁を持つということと等しい。だから、御朱印は丁重に取り扱わなければならない。
御朱印は、代金を支払って買うものではなく、お寺の場合はお布施、神社の場合は新穂料を納めて頂く（または授かる）ものである。従って、お釣りをもらうという行為は理にかなっていない。御朱印は1枚に付き300円、または500円と定められているところが多いので、予め小銭を用意しておこう。
寺や神社へ足を運び、本堂や本殿へ参拝して、その証に御朱印を頂き、お布施をしてまたは新穂料を納める。この一連の行為をよどみなく行うことが大事なのだ。ただ御朱印を貰いに行くだけでは何の意味もなさない。過程を愛せない行為は虚しい。結果だけを求める生き方では、早晩行き詰まるだろう。
まるで「スタンプラリー」のごとく御朱印を集めることに終始する人達の振る舞い。心ある人からすると、その場に居合わせただけで、嫌な気分になるかもしれない。どうかその時は、（この人達は、ブームと共に去っていく、一過性の人達だから）と一線を引いて考えて、ちょっとの間の我慢をお願いしたい。
御朱印を集めることだけに必死な人達のことを「100%悪い」と言う積りはない。彼らの爆発的なエネルギーがあったからこそ、御朱印ブームは生まれたのだし。それまで寺社に見向きもしなかった人達の「アツい視線」を誘導してくれたのは彼らの功績だ。
だが彼らのように御朱印の上っ面だけをかすめて、ご利益だけ頂こうというズルい考え方では、自分自身が消耗してしまって疲れていく気がするのだ。だから決して真似したいとは思わない。
話をコミュニティ系RPGオンラインゲーム『MILU』に移そう。『MILU』はスタートして11年目に突入した息の長いゲームなのだが、ユーザーさんもまた息が長い。長く愛されている理由は何なのだろう？ 私なりに考察を重ねた結果、やっぱり「生身の人間」を背後にしっかり感じながら、チャットやイベントなどで「積み重ねたおしゃべり」が魅力なのではなかろうか？
自分はどんな人と気が合うのだろう？ 思春期の頃、よくそんなことを考えたものだ。今の私は、その問いに関して確固たる「答え」を持っている。「ありきたりな日常会話をスムーズに出来る」そんな相手と積み重ねたありきたりの日常会話は、往々にして人生を輝かせてくれるものだ。
御朱印巡りにおいても同様のことが言える。つまり御朱印集めを長く趣味として楽しむには、御朱印を頂く行程の中で、「他人との関わり」を意識することだ。例えば神社や寺の宮司や住職。御朱印の手配だけに留まらず、神社やお寺の謂れなどを話してくださるかもしれない。また、おなじ御朱印集めの仲間と〝私はここの御朱印が好き〟とか〝ここの神社、今だけ限定の御朱印が出ているよ〟等、情報交換の花を咲かせたり、他者との会話を意識してみよう。御朱印に纏わる登場人物を増やすことで、自分と御朱印との絆を深くしよう。それは「ミルトモ」と段々深いところで繋がっていくあの感覚と似ているだろう。
Writer：ひねもす
