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〝絶対誰にも言わないでね〟話し相手に対し、そんなセリフを発したことは、誰でも一度くらいあるだろう。特に子供の頃や、おしゃべり好きな女性同士は多いのではないだろうか。〝言わないでね〟と言われる程、何故か言いたくなるのは何故か。私は大人になってから “秘密” の話は、聞いても出来るだけ忘れるようにしている。でないと、つい話してしまいそうになるからだ。
「秘密」に纏わるこんな昔話がある。登場人物「巳之吉」の気持ちになって読んで欲しい。
――― 昔々、ある村に「茂作」と「巳之吉」という木こりの親子が暮らして居た。ある時、2人は村はずれの裏山で、ひと仕事を終えて帰る道中、まさかの大雪に見舞われてしまった。(このままでは凍死してしまう)そう思った矢先、偶然にも小屋を見つけ、駆け寄った。しかし、中には誰も居ない。不思議に思いつつも、あまりの寒さに小屋へ入って、中にあった藁製の掛布に包まったまま、2人とも眠ってしまった。
どれだけ時間が経った頃だろう。巳之吉がふと気付くと、小屋の片隅に真っ白な肌の女が立っていた。女は静かに茂作へ近づき「フゥ……ッ」と、息を吹きかけた。すると、茂作の体はたちまち「氷」に包まれた。巳之吉は驚き、叫んだ。女は静かに言う。“私は雪女。決して人間に知られてはならない存在。だから、あなたの父親を凍らせた„ 怯えた巳之吉は後ずさりしながら聞いた。“私も凍らせるのか?„ 雪女は“あなたは若くて美しい。なので、あなただけは許しましょう„ と言う。そして言葉を続けた。“許すのは一度。約束しなさい。今日のことは絶対に誰にも話さないと……。もし約束を破れば、あなたも凍らせます„ そう告げると、音も無く消え去ってしまった。
それから数年の歳月が流れた。命からがら我が家に戻った巳之吉は、雪女との約束を守りながら、ひっそりと村で暮らし続けた。誰かと接することで(つい話してしまうのではないか)。そんな不安から、なるべく周囲と接触をしないようにし、「独りぼっち」の生活を耐え忍んだ結果、彼はどんどん村の中で孤立してしまった。
しばらくして、ある雪の晩、巳之吉の家を1人のうら若き美しい顔立ちの女が訪ねてきた。“吹雪の中、道に迷ってしまい困っています。しばらくこちらに置いてもらうことは出来ませんか„ 可哀想に思った巳之吉は、「お雪」と名乗るその女を家の中に招き入れ、そのまま住まわせた。そして、いつしか男女の仲になって愛し合い、沢山の子宝に恵まれた。しかし、1つだけ不思議なことがあった。何故か、お雪は何年経っても歳をとらない。どんなに時間が過ぎても、最初に出会った時と同じ、美しい姿のまま。巳之吉は疑問に思いながらも、幸せな生活を送っていた。父親を失った悲しみ、1人孤独に暮らした年月。それら全てを埋めるかのような、とても温かな時間だった。しかし……。
雪の晩だった。お雪が訪ねてきた日のことを思い出し、2人で話していた時。巳之吉は“こんな話を信じるか?„ と、遂に「雪女」のことを話してしまった。話し終わるや否や、お雪が口を開く。“その雪女とあなたは、何か約束をしませんでしたか?„ それを聞いた巳之吉は“約束……誰にも話してはならないと言われた„ と答えた。すると、お雪は瞬く間に「雪女の姿」に豹変、“そう、誰にも言わないと約束したはず„
しかし、様子がおかしい。“あの時言ったとおり、私はあなたを凍らせなければならない。「掟」は絶対。一度だけは見逃せたけれど、二度目は無い。もし、私がここで見逃してしまえば、雪女の私は存在していくことが出来ません„ 巳之吉は震えながら話を聞く。“しかし、今は沢山の子供が居る。もし、働き手のあなたが消えてしまえば、子供たちは生きていくことは出来ないでしょう。初めは、ただあなたを可哀想だと思い、父親を凍らせた後ろめたさもありました。だから一緒に暮らし、子供を成した。でも、今はあなたが大切な存在になり、かけがえなく思っています。私には、もうあなたを凍らせることは出来ない! だから、私が消えるしかない……„
最後に、「母親」としての顔を覗かせたお雪は“子供たちをお願いします。みんなが居るから、もう寒さに凍えることはないでしょう。どうぞ、みんな仲睦まじく温かく暮らしてくださいね„ そう言い残し、降りしきる雪の中へ姿を消してしまった。そして、巳之吉はお雪と過ごした幸せな記憶を持ちながら、残された子供たちと暮らした ―――。
何故、巳之吉は「タブー」だった「雪女の話」をしてしまったのか。
心理学には “自己開示” というものがある。自分のプロフィールや、内緒にすべき秘密等を打ち明けることを指すのだが、「親しい間柄ほど自己開示が多く深く行われる」ことが判っている。例えば、初対面で深いことまで話しすぎる人。これは、それだけ親しくなりたいという「寂しい気持ちの表われ」と言われている。すなわち、恋人や夫婦であるなら、深い自己開示をするということは、それだけ「親近感が強い」と考えられる。秘密を破ると、凍らされてしまうと言われた雪女の話。究極ともいえる深い秘密を巳之吉が話してしまったのは、その瞬間がお雪に最大の親近感こと、 “愛” を感じていたのかもしれない。一見、不幸な結末に見えるが、あの時こそ2人の「心」が初めて結ばれ、最も幸せを感じた瞬間なのではないだろうか。
コミュニティ系RPGオンラインゲーム『MILU』のプレイ中でも、現実でもそうだ。もし、誰かが「デリケート」な秘密を、あなたに「カミングアウト」してきても、決してあなたを傷つけようとしている訳ではないということを知っていてほしい。それはただ、あなたのことを親しく思っていればこそなのだから。
Writer:めしまま