(♪童謡『一年生になったら』より)
あなたには本当に “友達” と呼べる人が何人いるだろうか。1人? 10人? 100人? 全国的にどのくらいと答えた人が多いのか気になった私は、インターネットで調べてみた。
全国平均では「友人」はおおよそ10人、「親友」になるとグッと減って2.5人。歳を重ねるごとに減少していく傾向にあるようだ。理由としては、まず仕事で忙しくなるから。特に働き盛りの男性の間では仕事が忙しくなることから、孤独化していく問題も出ているようだ。仕事があることは素晴らしいが、自分の時間や友達と遊んだりして楽しい時間が持てないのはとても窮屈なことだ。
次に上げられる理由は、結婚をして家庭中心になるから。確かに結婚だけならまだしも、子供ができると自分だけ遊びに行く、ということは独身時代に比べると減るだろう。友達を100人作るのは簡単かもしれないが、交友関係を維持していくのは難しいようだ。
“友達” というのは《互いに心を許し合って、対等に交わっている人。一緒に遊んだりしゃべったりする親しい人》を表す。お互いに心を許すとは難しいことだ。自分が心を許していても、相手が許していなければ友達にはならないのか? いや、秘密を話せる仲であれば友達でいいのではないだろうか。《自己呈示》ではなく、《自己開示》というものだ。
〝友達は1人でいい〟と云う人もいるし、〝何人もいた方がいい〟と云う人もいる。総勢30万人を対象に、複数の研究結果を統合したメタアナリシス(メタ解析)を元に、20世紀と21世紀に行われた148の研究によると、喫煙や飲酒、運動や肥満よりも人との「繋がり」が一番寿命に影響を与えていることがわかった。 “孤独” は喫煙等よりも健康に悪いのだ。またこの様なデータもある。「急性心筋梗塞」の治療を受けた人を対象に、お見舞いに来てくれた人の数と6ヶ月以内の死亡率のデータだ。驚くことに誰もお見舞いに来てくれない患者が70%に対し、2人以上お見舞いに来てくれた患者の死亡率は26%まで減少するのだ。さて、今あなたが入院した場合、お見舞いに来てくれそうな友達は何人思い浮かぶだろうか。
RPGオンラインゲーム『MILU』にも友達が必要になる。1人でプレイできることもあるが、どうしてもストーリーを進めていくうちに1人ではできないこともあるのだ。『MILU』の中では友達のことを「フレンド」と呼ぶのだが、フレンドを増やしていくクエストもある。そのためにフレンドを増やしていく人もいれば、“顔見知りだけのフレンドはいらない„ と最小限に抑える人もいる。
以前、放送された某TV番組で或るコメンテーターが〝現実の世界でも仮想の世界でも友達は150人が限界〟と実証例を紹介していた。イギリスの人類学者ロビン・ダンバーが、猿の群れなどが安定した関係を保てる数を調べたところ、「150匹」が限界。人であればSNS等の仮想の世界でも友達数は「150人」が限界と実証している。この数字を発見したダンバー教授の名に因んで「ダンバー数」と呼ばれている。
『MILU』には友達の数の限度はないのだが、さてあなたはこの人は一体どんなフレンドさんで、どんな関わりがあるのか何人まで覚えているだろうか。そして『MILU』の中ではフレンドをいっぱい増やしてみる方だろうか、最小限だけにしていく方だろうか。ここはゲームの世界だ、どちらを選ぶかは人其々の考えもあり、自由なところである。しかし何百人もいると全員と深く付き合っていくのは難しいことであろう。
『MILU』でプレイをする上で、自分のキャラクターの性格を設定してプレイする人もいる。自分の性格のままの人もいる。フレンドさんに自分を全て知ってもらう必要はない。ただし、絡みが深くなるにつれ、どんどん自分のことを話していくだろう。その時、それでもまだあなたと一緒に遊んでくれるとしたら、それはもう立派な “友達” ではないだろうか。いや、 “友達” であり “仲間” でもある。
何か理由があり、ゲームのアカウントを消してしまう人もいる。しかし、削除する前にもう少し思い出してほしい。今まであなたと一緒に遊んだ仲間のことを。あなたのことはずっと忘れることはできないのだ。たかがゲーム、されどゲーム。オンラインゲームだからこその楽しみ方がここにはあり、嫌なことも付いてくる。しかし、1人で抱え込まずフレンドさんに相談してほしい。そしてまた元気なあなたと一緒に遊びたい。作ったキャラクターを簡単に消さないで。ゲームにインする時間が減ってもいい、また姿をポッ……とでもいいから現してほしい。あなたのキャラクターを待っている人は必ずいるのだ。本名も声も顔も知らなくても、『MILU』のフレンドさんからあなたが消えることはない。あなたを必要としている人がいることを忘れないで。
Writer:めしまま