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（木藤亜也／著『１リットルの涙』より）
この世の中にはいろいろな “病” や “障害” がある。先天性、後天性。身体、精神。数えきれないくらいだ。生活習慣病に罹る人も増え、充実した保険も増えてきている。平成30年4月に厚生労働省から「難病指定」として告示された病の数は「331」にも及び、年々増えている。
そもそも「難病」という言葉がいつ頃から頻繁に使われるようになったのか。それは昭和40年代、「スモン」という病気が契機になっている。スモン（SMON：subacute myelo-optico- neuropathy）とは視神経を侵し、同時に脊髄炎を合併する病気である。当時、多くの患者が原因不明の奇病に苦しみ、社会問題にまで発展したが、誰も好んで病に罹る人はいないのだ。
“病” と “障害” の違いは何なのか。明確な答えはないのだが、一般的な解釈によると、病は「治療をすると治るもの」、障害は「治療をしても治らないもの」とされている。 障害認定を受けた子供を持ち “健康な体に生んであげられなくてごめん……„ と悔やむ友人がいた。決して両親が悪い訳ではないのに。本人も〝どうして僕、私が？ 〟と思う人もいるだろう。誰を責めることも出来ないのだ。
私も時々、記憶の一部を失念している時がある。友人と会話していて “それも覚えてない？ 何かの病気じゃないの？„ と言われたことがある。何も異常は無かったのだが、最近は何かにつけ「病気」を疑う人が増えてきた気がするのは私だけだろうか。
生きていく上で何か病や障害を抱えた人に会ったことが無い人は、まずいないのではないか。身近に居なくても役所や病院へ行った時、バス等に乗った時等、見かけないだろうか。身体に障害等を抱えていると見た目で判ることも多いのだが、精神医学的障害となると見た目では判断がつかないことが多い。
ネット用語として “メンヘラ” と称されている造語がある。由来は「メンタルヘルス」（心の病気）という言葉が、匿名掲示板で「メンヘル」に略され、それに更に英語の接尾辞「-er」が付き、「メンヘラ」となった訳だ。ただ、勘違いはしないでほしい。精神障害者＝メンヘラではないのだ。通常、メンヘラとは俗に云う「かまってちゃん」が多いようだ。「自己顕示欲」や「承認欲求」が強すぎて、相手に若干ウザい印象を与えてしまい、周りから煙たがられる存在である。一言で言えば〝愛してくれないならここで……〟というものだ。
例え、精神を病んでいたとしても、疾患そのものを自分で受け止め、体調管理を行い、社会へ出ている人も多くいる。
他にも、見た目では判断出来ない例もある。日本では法規制されている一部の薬物も、緩和医療の現場では末期癌等で激痛を抑えるために、敢えて処方している患者さんも多い。が、誰も彼らを責める権利はないだろう。例えば障害者手帳を携帯しているのを見た時、例えば本人からのカミングアウトがあった時、貴方はどう思うだろうか。
「病」と「障害」、抱えているから関わらない方がいいと思うのは間違いである。まずは歩み寄っていくことが大事なのではないだろうか。 “病人” という枠組みを取り払い、 “健常者” として関わってみよう。病人本人は腫れ物に触るような接し方は求めていないかもしれない。そしてその本人自身と会話をしてみようではないか。
『MILU』はオンラインゲームである。プレイヤーの「背景」も様々で、実に色々な人がいる。健常者で仕事もバリバリッとこなす人。家事をする人。定年退職し、家に居る人。病気の為、外へ出られない人。自らの「分身」であるアバターを作って遊ぶもの、それが『MILU』だ。全てをさらけ出す必要はない。ただ、チャットの会話だけでは、相手の表情は見えない。「匿名」のゲームなのだ。ちょっとした一言で傷つくこともあれば、ちょっとした一言でその日が薔薇色の様な1日になったりもする。
「元気」や「勇気」、「喜び」を与える側になろうではないか。そして貰った元気や勇気を自分のフレンドにも配ろうではないか。チャットでの会話だけでも、貴方の性格を理解してくれる人は必ず居る。〝『MILU』で遊んでいて、初めてこんなに気が合う人に出会えた〟。〝また明日も遊ぼうね〟。〝『MILU』には◯◯◯というキャラクターは必要だ〟。こんな嬉しい一言に出会え、元気を貰える場所。それがRPGオンラインゲーム『MILU』である。
Writer：めしまま
