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“喜怒哀楽” の感情起伏が顕著な人間だからこそ、気持ちが落ち込むことは誰にだってある。ずっと「喜」と「楽」だけだと良いのだが、そういう訳にはいかない。1人で居ても誰かと居ても「怒」も「哀」もつきまとってくるのだ。
スタンフォード大学(米国)の教授で、心理学者のキャロル・S・ドゥエック女史が行った実験がある。思春期初期の子供たち数百人を「Aグループ」と「Bグループ」に分け、簡単な知能テストを解かせた。子供たちは優しいテストだったため、全員が良い成績を収めた。ドゥエック教授は終わった後で子供たちに言葉をかけた。Aグループには“頭がいいのね。才能があるわ„ 、Bグループには“よく出来たわ。頑張ったのね„ と、Aグループには「知性」や「才能」について、Bグループには「努力」について褒めた。
テスト後、被験者の子供たちに質問をした。“この後、もう1つテストをしてもらいます。簡単なものと難しいもの、どちらがいいですか?„ 。すると、知性や才能を褒められたAグループの大半が“簡単な方„ と答えたのに対し、努力を褒められたBグループは“難しい方„ と答えたのだ。しかし、ドゥエック教授は子供たちの答えに関係なく、どちらのグループにも、わざと難しいテストを出した。結果はどうだろう、努力を褒められたBグループは、才能を褒められたAグループよりも熱心に取り組み、明らかに成績が高くなった。Aグループは再び簡単なテストを出されても、成績は回復しなかったのだ。
難しいテストをどう感じたのか質問をすると、Bグループは“楽しかった。持って帰ってまた解いてみたい„ 。しかし、Aグループは“面白くなかった。持ち帰らなくていい„ と自信を失い、自分の能力が疑われることをやりたがらなかったのだ。難しいテストが出された時も「自分の能力が低いからだ」と思い込み、テストの点数も下がった。対して、Bグループは難問が出されても「もっと頑張らないと」と捉え、解けないことを自分の知識不足のせいにはせず、問題を解くこと自体を楽しめたのだ。
上述したテストの結果から、人は知力や才能等、生まれもった資質を褒められるより、「よく頑張ったね、今までよくやってきたね」と、「努力」や「行動」を褒められた方が長期的に自信を持ち続けることが出来るのだ。
(何かしら体調が悪い……)と感じて、不調の原因をネット検索してみると、よく “ストレス” という言葉がヒットする。ストレスを抱えるのはそれだけの行動をしてきた証だ。「頑張れ」よりも「よく頑張ったね」と、その努力を誰かに認めてもらうだけで、人は少しずつ自分を受け入れていけるのだ。
鬱病の人に対して《「頑張れ!」は厳禁》ということは聞いたことないだろうか。《気の持ちようだ、何とかなる》も控えた方がいいと言われている。「鬱状態」とは、心のエネルギーが切れかけている状態と同じであり、そのような状態の人に「頑張れ」と言うのは、ガソリンが無い車に「もっとエンジンをまわせ」と言っているのと同じことなのだ。かといって「そんなにいい仕事に就いているんだから、続けないと勿体ない」、「君には才能があるんだからもっと自信を持って」と言うのも、才能やすでに得ているものを褒めるだけでは、偏った激励でしかない。
鬱病の人に限らず、上述したAグループやBグループのように、大事なのは「頑張れ」ではなく「頑張ったね」と相手を褒めてあげることなのだ。その努力を認めることにより、本人は自分自身を少しずつ受け入れていけるのである。もし、まだよく知らない相手でも、努力した形跡が見つからない場合は、何か新しい行動をする度に褒めてあげると良い。それだけでも本人は自分の行動に自信が持てるのである。
ただ闇雲に褒めるだけでは、甘やかすことになる。とにかく褒めろ、と言う訳では無い。コミュニティ系RPGオンラインゲーム『MILU』を、フレンドと一緒に楽しくプレイするには、誰か1人でも「怒」や「哀」状態だと、自分自身も楽しめないのでは無いだろうか。しかし、画面の向こう側も “血の通った人間” 。ゲームにログインしている時に必ずしも全員が「喜」または「楽」状態では無い。元気が無い時は話を聞いてあげ、“○○さんはよく頑張ったじゃない!„ と、努力を認めてあげるだけでも、ホッ……とする居場所になるのではないだろうか。そして、またあなたに会いに『MILU』へ来てくれるはずである。
大切なのは(落ち込んでいて可哀想……)と「同情」するのではなく、(1人でずっと耐えてきたんだろうな。すごく頑張ったんだな)と “尊敬” してあげることだ。その気持ちこそが相手を最も安らげることに繋がる。「怒」や「哀」を、「喜」や「楽」に換える魔法の言葉。それが “頑張ったね” である。どうか、このコラムを読んで頂いたあなたが「喜」と「楽」が溢れる『MILU』ライフが送れますように……。
Writer:めしまま