人間関係もやんわりブロック!? 進化するマスクに、人々のニーズを見た。

人間関係もやんわりブロック!? 進化するマスクに、人々のニーズを見た。

画像 人間関係もやんわりブロック!? 進化するマスクに、人々のニーズを見た。

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歴史とは、明確にされた経験である。(ローウェル)

外国人からすると、日本人のマスク着用姿は異様らしい。何せ欧米では医療従事者を除けば、マスクを着用する人は殆どいない。まず、薬局にも雑貨屋にも置いてないそうだ。

 

では、マスクはどのようにして、日本独自の文化になっていったのだろうか? マスクの歴史を辿って行こう。 北多摩薬剤師会会長で薬剤師の平井有氏は、江戸時代から昭和までの薬にまつわるグッズを収集している。平井氏によると、明治時代から一般の人もマスクを使っていたそうで、氏が所有する当時のマスクは、触ると口を覆う部分が硬く、裏返すと口が直接、当たらない空洞になっている。今の立体型マスクのような形だ。その当時、マスクは「呼吸器」と呼ばれていた。一体いつからマスクと呼ばれるようになったのだろう。

 

答えは、1918年から1919年にかけて世界的に流行した「スペイン風邪」予防啓発ポスターのキャッチコピーにある。《マスクをかけぬ命知らず》。当時の内務省集計で、約39万人の死者を出したスペイン風邪対策として、人々は今の価格で3000円以上という高級マスクを繰り返し使って凌いだという。素材は、革やゴワゴワとした硬いメッシュ、ビロードなど様々。色は黒や茶、青などがあった。色が濃いのは繰り返し使用しても、汚れが目立たないように、と言うことだろう。大正時代はマスクが百花繚乱に栄えた時代と言えよう。

 

2つの大戦を経て、マスクを巡る状況も大きく変わった。物資不足で『愛国マスク』のように透けて見えるぺらぺらのガーゼ製ばかりになってしまった。そして戦後以降、洗って「繰り返し使うガーゼ」から、「使い捨ての不織布」へと転換したのは80年代以降。花粉症対策で多くの人がマスクを使うようになってからである。ガーゼだと花粉が目詰まりするので、便利な不織布の使い捨ての人気が高まったのだ。

 
 

自分について多くを語ることは、自分を隠す1つの手段となり得る。(ニーチェ)

伊達マスク、という言葉を聞いたことがあるだろうか? マスクと言えば、インフルエンザや花粉症対策のために着用するのが通常の使用法であるが、近年それ以外の目的でマスクを着用する人が増えてきている。主に「自分を隠す」目的で。他人事のように言っているが、私自身、伊達マスクの気分でマスクを着用したことは何度も有る。

 

伊達マスク蔓延の大きな理由は、マスクが花粉症対策としても用いられることになった結果、冬だけでなく通年でマスク姿が見られるようになり、ますますマスクは巷の風景に溶け込んでいったのだ。

 

私は一体どういう時に伊達マスクを着用したか? よくよく考えてみると、次の2点の理由に尽きるだろう。まずは、「ノーメイクで安心して出かけられる」ということ。気の張る場所に出掛ける訳ではない時には、本当に便利だ。

 

もう1つの理由は、「疲れた表情を見せたくない」。無愛想な表情を見られたくないから、マスクを着用する。ただそれだけで、安心して気の抜けた表情でいられる。

 

人々が伊達マスクを着用する理由は、大きく分けてこの2つに集約されるのではなかろうか。マスクの「力」を借りて、面倒な人間関係からちょっとだけ逃げることが出来る。これこそが、世の新しいニーズに即応した、マスクの新境地であろう。マスクは、インフルエンザや花粉症をブロックする本来の働きに加えて、人間関係をもブロックするという進化を遂げたのだ。

 
 

生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。(チャールズ・ダーウィン)

RPGオンラインゲーム『MILU』は、今年で10周年を迎えた。この10年の間、ユーザーを飽きさせなかった秘訣は何だったのだろう? 答えを考える時、時代背景やそこに生きる人々のニーズを把握して変化し続けた、「マスクの歴史」がシンクロする。

 

例えば、『MILU』の人気の1つ、「イベントの多彩さ」について。夏の時期には、夏休みに因んだイベントと言った具合に、毎年恒例のイベントは有るのだが、その詳細な中身については1つとして同じものはない。イベントでゲット出来るアイテムに、その年ならではのテイストを出してみたりと、ユーザーのワクワク感を煽るのに余念がない。

 
 
マイナーチェンジを繰り返す一方で、全体に漂うまったりとした空気感、くしゃくしゃになった心のしわが、ゆっくりと伸びていくような解放感。そういった癒やしの空間としての立ち位置には微塵の揺らぎもない。《変わるところと変わらないところ》。双方の絶妙なバランスが『MILU』の最大の魅力かもしれない。
 
 

Writer:ひねもす

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