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先日、妹の友達が〝見るとタメになるから〟と、動画を送ってきてくれた。東大卒でありながら、現在ニートに甘んじている若者達を相手に、有名塾講師が独自の仕事論を展開する、という内容である。曰く、人間には2つのタイプがある。 “好きか嫌いか” で仕事を選ぶ人。もう1つのタイプは “出来るか出来ないか” で仕事を選ぶ人。
その塾講師の場合、バブル全盛期に、当時の花形的職業だった銀行に「好きだから」という理由で入行。だが憧れと現実とのギャップは大きく、長くは続かなかったそうだ。銀行を辞して途方に暮れていたが、学生時代にアルバイトでやっていた塾講師に転職することを決意。まさに、自分に「出来る」仕事にしたのだ。学生時代、〝複数の塾から誘われた〟と述懐されているので、客観的に見ても適職だったに違いない。
「好きだから」という気持ちは、得てして巷に数多ある情報に晒されて生きるうちに〝好きなんだ〟と思い込んでいることが多い、と塾講師は語る。彼自身、バブル期の羽振りの良かった銀行員の姿を数多くのニュースで見て、それに成功してバリバリ働いている自身の姿を重ねたのであろう。それがいつの間にか〚銀行員=好き〛という記憶にすり替わってしまった、と分析している。
だからと言って、塾講師は〝「好きだから」で仕事を選ぶのが間違い〟とは言っていない。人々のライフスタイルを劇的に変革させたアップルコンピュータを設立、世界で最も価値のある企業に育てた、スティーブ・ジョブズは、「好きだから」で仕事を選んだ成功例と言えよう。
塾講師の考えは、自分自身に置き換えて考えてみても合点がいったのだが、私はもっと根源的なところに疑問を持ってしまった。(なぜ、人は何故働くのだろう)。もちろん、お金を得るため、という答えが真っ先に考えられるだろう。しかし、生きていくのに充分な程のお金を所有しながらも働いている人は沢山存在する。
つまり、働くとは、「お金」+「α」と言うことが可能であろう。では「α」にはどんなワードが入るのだろう? やり甲斐・充実感と言う言葉が私自身はしっくり行く。お金持ちでありながら労働意欲を持ち続ける人が多数存在することを考えれば、人は、楽な人生よりも “充実した人生” を送りたいという願いを本能的に持っているのだと思う。
人々が生涯にわたって追求し、社会的に占めている地位・業務・職務の系列を「キャリア発達理論」として定義付けた、コロンビア大学の元名誉教授で心理学者のドナルド・E・スーパー(1910~94)は、「仕事に何を求めているか」という点に関して「14の労働価値」を以下の通り示している。貴方の仕事に関する価値観を探し当てるのに便利なツールだと言えよう。
- ①「能力の活用」自分の能力を発揮できる。
- ②「達成」良い結果を出す。
- ③「美的追求」美しいものを創る。
- ④「愛他性」人の役に立つ。
- ⑤「自律性」他からの束縛を受けず自分でやる。
- ⑥「創造性」新しいものを創り出す。
- ⑦「経済的報酬」お金を沢山稼ぎよい生活を送る。
- ⑧「ライフスタイル」自分の望む生活を送る。
- ⑨「身体的活動」身体を動かす機会を持てる。
- ⑩「社会的評価」社会に広く認めてもらえる。
- ⑪「冒険性、危険性」わくわくするような体験が出来る。
- ⑫「社会的交流性」色々な人と接点を持てる。
- ⑬「多様性」様々な活動が出来る。
- ⑭「環境」仕事環境が心地よい。
とかく〚遊ぶ=楽しいこと〛〚働く=辛いこと〛と考えられがちだが、この図式、考え直してみる余地はありそうだ。人(特に大人)は、遊び100%に憧れはするものの、実際100%遊びだと疲れてしまうし、何か落ち着かない気持ちに陥ってしまう。遊びの中にも少しの義務を、仕事の中にも少しの楽しみを混ぜるのが、大人の上手な生き方、暮らし方だ。確信を持ってそう思う。
RPGオンラインゲーム『MILU』は、貴方の気持ちをふんわり上昇気分にしてくれる、 “癒し” を実感できるゲームである。その癒しの秘訣は、案外ゲームの中に散りばめられた、「楽しい義務」に在るのかもしれない。クエスト1つとってみても、様々な義務をこなした上で、「ゴールド」や「アイテム」が得られるのだ。《苦あれば楽あり》の原理は『MILU』の中でも息づいているようだ。
Writer:ひねもす