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2016年の4月ごろ。私は話し相手もいない引き籠りとなり、数カ月間過ごしていた。人の声を聴いて「孤独」をごまかしたいと考えた私は、インターネット上にて配信されている “ webラジオ ” に目を付けた。しかし今となっては、当時の判断が最善の策ではなかったと自覚している。
それから私はwebラジオに溺れるように依存することになる。公式配信サイトを通してオンラインで提供される番組の数々に、最初のうちは楽しさを覚えていた。だが、やはり虚しさはごまかし切れない。原因は自身でも理解できている……会話をしていないからだ。その一枚の壁のためだけに、私の心は虚しさを膨らませていった。相手の姿を見ることもなく、ただ一方的に言葉を聴き続けるだけでは、孤独は消せない……。
2017年の春のこと。長い期間をwebラジオに依存していた私は、漠然と考えごとをしていた。「孤独を解消するにはどうしたら良いのだろう」。人に会って対話をしたら良いのでは、という単純明快な答えの話をしたいのではない。社会に生きる人々だって孤立感は好まないはずだと私は仮説を立てる。だとしたら「どのような方法で孤独を回避しているのか」。それが一番肝心なのだが、その方法を一言で表すことはできないのかもしれない。だが私は、根本的な解決策を練らずにいた。「ラジオのパーソナリティの話を聴いて、会話をしているような気分になりたい」。そのような、なんとも寂しげな惰性に従って生きていたのだ。
私は友達自体が少ないうえに、会う機会も、そう多くはない。家族以外の親しい相手と会話をする……そんな当たり前に思える欲求すら満たせていなかった。恐らく当時の私と同じ気持ちでいる人は、この現代社会に多いのではないかと予想する。だがついに、この私の会話不足による欲求不満と鬱屈は、思いもよらぬ形で解消されることになる。
2017年の夏ごろ。私が使用しているパソコンはスペックが低めのノート型で、しかも中古で購入したものだ。そんなパソコンでもサクサクと動作するオンラインゲームを、私は時間をかけて探していた。オンラインゲーム、またの名をネトゲ。これが膨大な数で存在しているため、スムーズな動作で遊べそうな作品を探すのに苦労していたが、探し始めて三日目の晩、転機が訪れた。
「やっぱり、スペックが高いパソコンじゃなきゃだめかな」。そう諦めかけた時に、ふと閲覧していたwebページ上の広告が気になった。それこそが『MILU』というゲームの広告だったのだが、コミュニケーションを売りにしているこのゲームに対し、私は当初、ビクビクとしていた。オンラインゲームは過去にもプレイしたことがある。しかし、ネット上で会話をするのは若干苦手としていた。それでもラジオを聴くだけの、寂しさに震えるような生活に戻るのは絶対に嫌だった。不得意なチャットという手段でもかまわないから、ゲームを通してたくさん話がしたい。その自らの切望に背中を押され、不安を抱えたまま、私は会員登録を済ませた……。
『MILU』のある生活が始まって、二カ月が経った頃だった。積極的に話しかけてくれる大勢のメンバー様のおかげで、私は緊張しながらも会話に応じることができていた。大きな発見もひとつだけある。孤独を生まないためには、やはり ❝ 言葉の送受信 ❞ が大切だったのだ。ラジオが満たす需要はすなわち「聴きたい」であり、それに対して会話が満たす需要は「あなたと話がしたい」である。以前までの私は、的外れな方法でコミュニケーション欲求を満たそうとしていたのだ。
『MILU』での日常は、私が挨拶をしたら相手も挨拶をする。相手が挨拶をしてくれたら、私も挨拶を返したくなる。竿と餌を用意して釣りをしながら、またはシャベルを使って採集しながら、いつでもどこでも会話は弾む。ついに会話のキャッチボールが叶った。私があれほど渇望していた言葉のやりとりが、楽しい時間が手に入ったのだ。
人間として当然の願いである「コミュニケーション欲求」。私はそれを『MILU』を通して満たすことができたのだが、人によっては “ ネットでの人間関係はちょっと…… „ と思う方もいるかもしれない。そこで私は次のような例え話を用意してみた。
“ サラダのドレッシングに酸味を加えたいがお酢がない。どうしたら良いのだろう „ と、Aさんが訊く。Bさんは “ お酢がないなら、諦めろ、我慢しろ „ と言う。そこで私はこのように提案した。 “ ならば、レモン果汁を使ってみてはどうだろうか „ と。
◇ ◇ ◇
上記の例え話のように、すぐに諦めるのではなく、それに代わるものを用意することで活路を見出してみよう。この社会で生きる人間のすべてが、面と向かってのコミュニケーションを満足にできているとは限らないのだ。だからこそ「バックアップ・プラン」として、『MILU』の世界に遊びに来ることで孤独の緩和、解決を促すプランを、これから創りあげて広めていきたい。
投稿者:薪ストーブ設計マン