画像出典:ぱくたそ(https://www.pakutaso.com/)
近年、SNS(ソーシャルネットワークサービス)が発達して、自分の思いや考えを手軽に多くの人へ発信できる時代になった。これはまさしく個人の情報発信手段「マイメディア」と呼べるだろう。SNSの他にも従来からのウェブツールとして、簡易的なウェブサイトや公開日記として活用できる「ブログ」もある。SNSやブログを通じて、多くの人々と交友関係を築いている方も多いのではないだろうか。だがそんな時代だからこそ、私は紙のノート等に筆記用具で書く「アナログの日記」もお勧めしたい。
紙に書く日記は、一般的に他人に見せる機会は多くない。書いた文面の一部をスマートフォンのカメラ機能等で撮影してSNSやブログに掲載している人もいるが、本当に他人に見せられない部分は掲載しないだろう。そのため、公に見せることができないプライベートな事も心置きなく書くことができる。自分自身を見つめ直すためのツールという使い方もあるのだ。
人によって感じ方は違うのかもしれないが、私の考えとして、アナログ日記はブログより手軽に書くことができるのだと感じる。理由はノートやメモ帳、鉛筆やボールペンを用意さえすれば、すぐに書き始めることができるからだ。ブログを書く為には、PCの電源を入れてメモ帳やワープロソフトを起動したり、契約しているブログサイトにログインするといった作業が必要。さらにインターネット回線が無いと記事のアップロード(公開)もできない。アナログの日記はそういった作業を行う必要がなく、ノートと筆記用具というどこにでもある道具で書き始めることができる。デジタルのブログに優る手軽さがあるのだ。
記事の保存をしなくてもいいという利点もある。書きかけのブログだと、こまめに編集内容を保存しなければ、PCの突発的なトラブル発生によって再起動等をした際に、書いてきた内容が消えてしまう可能性がある。自動バックアップ機能がある機種でも、記事を完全に復元させることができないかもしれない。紙の日記は途中で書くことを中断しても、また後で続きからペンを走らせれば良い。トラブルを恐れずに書くことができるのも、アナログ日記の利点だ。
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ブログの場合は誤字・脱字や書き間違いを跡形なく修正できて、且つ、きれいに書けるというデジタルならではの利点がある。しかし私は、ブログには無いアナログの日記ならではの深い味わいがあると思う。それは、「修正の跡」だ。鉛筆で書く時は消しゴム。ボールペンで書く時は修正液や修正テープ。間違えた箇所を包み隠さずに塗りつぶすということもある。この修正の跡が、時間が経って読み返してみるとなんとも言えない味わいを感じるのだ。
「この日の日記は急いで書いていたから修正箇所多いなぁ」「紙がクシャクシャだ。何度も消しゴムをかけて文面を考えたのだな」と日記を書いた当時の記憶が強く蘇ってくる。そんな体験が、「また日記が書きたいな」という気持ちにさせてくれる。モチベーションが上がっていくのだ。
筆跡も味わい深いものになるだろう。私の場合だが、機嫌が良い時と悪い時とでは筆跡が微妙に違うものとなる。幸せな気分の時は行のバランスが良く取れていて文字も落ち着いたものになる。不機嫌な時は文字がグチャグチャで読み辛く、行も右肩下がりになっていたりする。文面だけでその時の気持ちを思い出せるのも、ブログには無いアナログの味わいのひとつだ。
ブログの記事を書こうとしていて、予定していた内容を忘れてしまった経験はないだろうか。実はこのアナログの日記、ブログを書く時のネタ帳にもすることができる。その日あったことをすぐに日記帳へ覚え書きをしておき、後からブログ記事としてスムーズに書くことができる。PC向けオンラインゲーム『MILU』のプレイヤーであればマイページ日記のネタ帳として使うのもあり。『MILU』のゲーム内であった出来事を忘れてしまわないうちに日記帳に書いておき、後から『MILU』マイページの日記として記す、こんな日記の書き方もあっていいと思う。マイページ日記で貰ったコメントの感想を日記帳に記し、心の中でそっと感謝を伝えるという使い方もいいだろう。
読者の皆さんもこのコラムを機会として、アナログの日記を始めてみてはいかがだろうか。ノートと筆記用具さえ用意するだけで今すぐ始めることができる手軽さ。急かされずのんびりと書き記す気楽さ。修正の跡や筆跡の味わい深さ。日々の記録としてだけでなく、時々自分自身を見つめ直すツールとしてぜひとも有効活用してほしい。もちろん、アナログの日記の使い方は他にもたくさんあるだろう。自分なりの使い方を探してみるのも一興。私のまだ知らない、皆さんならではの使い方でアナログの日記の世界をじっくり楽しんでみよう。今回のコラムを通じて、皆さんの毎日がより充実したものとなってくれれば幸甚である。
name 投稿者:黒鉄紫吹(くろがね・しぶき)