おにぎりの向こうに見えること。

おにぎりの向こうに見えること。

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画像出典/Pixabay  https://pixabay.com/
 

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水があまりに清ければ、魚は棲めない。(福沢諭吉)

どう考えても、私は潔癖症じゃない。むしろその逆だと思う。しかし数年前、地元の市営体育館に勤務していた時、利用者さんから頂いたお漬物を私は口にすることが出来なかった。その利用者さんは常連の方で、毎日ほぼ同じ時刻に泳ぎに来ていて、何度か立ち話をしたこともある仲である。勿論、〝今は勤務中なので後で頂きます〟。と深々と頭を下げ、丁寧に断りを入れることを忘れなかった。

 

日本の食文化に精通している、愛国学園短期大学専任講師の竹内由紀子氏によると、様々な抗菌グッズが出回り始めた1980年代後半から、日本人の衛生観念が大きく変わって来たそうだ。つまり、日本人は体に悪影響をもたらす菌だけでなく、すべての菌に対して無条件に恐れ●●を抱くようになったのだ。

 

通信教育、出版を行う『株式会社ベネッセコーポレーション』が、2013年9月、小学生のお子様を持つ保護者を対象に、アンケートを実施した。【お子様は、どのおにぎりなら食べられますか?】と聞いたところ、「お母さん(家族)が握ったもの」という答えが85.6%と多かったのに対して、「友人・知人が握ったもの」は約半数の45.8%であった。このアンケート結果からも、家族以外の人が握ったおにぎりを食べるのに抵抗があることがわかる。また、「コンビニなどの市販のおにぎり」は83.1%のお子様が「食べられる」と答えた。これは、機械で作られたおにぎりなら衛生的。だから食べられる。という考え方を裏付けるものかもしれない。

 
 

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この世でいちばんおいしい料理は、お母さんの作る料理だ。おいしいものを食べさせようという気持ちがいっぱいつまっているから。(田中健一郎)

しかし、きれい好きだけでは説明が付かない結果も出ている。おにぎりをラップ越しに握ったものでも、「お母さん(家族)が握ったもの」が71.1%だったのに対して、「友人・知人がラップ越しに握ったもの」は、46.7%だった。これにより、他人が握ったおにぎりは、たとえラップ越しでも抵抗があるお子様が多いということが明白になった。

 

その背景にあるのは、親戚付き合いや地域のコミュニティの希薄化だと竹内氏は分析する。{近所の人や親戚と一緒に食事する機会が減り、他人の手作りのおにぎりを食べる機会が減りました。そうした社会状況から他人との距離感がより遠くなったのだと思います。}

 

私自身を振り返ってみよう。小学生の頃迄は、盆暮れの親戚の集まりや子ども会活動などで、家族以外の誰かと食事を共にする機会は頻繁にあった。それが中学・高校と時を経るに連れて、そういう機会は減っていった。減っていったと言うよりは、私自身が「避けた」と言ったほうが当たっているかもしれない。(これは面倒なことになるな……)と察知したら、途端に家族の影に隠れて、自分を前面に出さないようになった。父や母にになってもらって楽をした分、どうやら「大人」になりそびれてしまったようだ。

 
 

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世の中がどんなに変化しても、人生は家族で始まり、家族で終わることに変わりはない。(アンソニー・ブラント)

以前、ギルドメンバーのミルトモだった人は、コミュニティ系RPGオンラインゲーム『MILU』の中に家族を持っていた。バディ(新人ユーザーのお世話をする先輩ユーザーのこと)に当たる人のことを「お母さん」と呼び、心の底から慕っているようだった。身体の調子が悪くて「お母さん」が、2~3日ゲームにインしなかった時など、居場所を探し当てて見舞いに行くのではないかと思うほどの勢いで心配していた。「親孝行●●●」の彼には「兄弟」もいた。兄弟揃って、ビーチで踊っているスクリーンショットを何度か見せてもらったことがある。

 
 
そのミルトモほどは『MILU』にまってはいなかった私は、だからこそ冷静に『MILU』って凄いなと思った。何もないところから、他者を思いやるまでの関係を築けるなんて。「想像力」も「創造力」もフル回転といったところか。アバターを通して自分ではない、もう1人の自分を創るのだ。思いっきりリラックスして。やっちゃいけないことは、他人を不愉快な気分にさせること。後は何でもOK。因みに個性的なキャラの持ち主だったミルトモ氏は、驚くべきことに性別すらも超えていた! 『MILU』の中で「おにぎり」を食べる場面はないかもしれないが、少なくとも誰かと関わってみよう、と思える場面は多々あるに違いない。
 
 

Writer:ひねもす

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