▍くしゃみの音、あなたはどう思う?
あなたは、くしゃみや咳をする時の音に対してどう思うだろうか。「それくらい慣れているから平気だよ」「生活音の一部だし、仕方がないじゃないか」と流す人もいれば「聞き流すのは絶対に無理」「ひとたびくしゃみ音がしただけで耐えられない」「あの音を聞いただけでものすごく気持ち悪くなる」「汚い何かを見たような気分」という人もいるだろう。確かに予告がなく発せられる花火や射的音のような、場合によってはそれ以上の体感音量になる暴発音は聞くに堪えないという人も多くいる。
くしゃみは、口元を抑えずに思い切り出してしまえば大きな音がするだけでなく唾も周囲に飛び散っていくため、「うるさい」「気持ち悪い」「不潔だ」というマイナスイメージを持たれやすい。その上、風邪やインフルエンザといったウイルスが広範囲に飛び散る可能性もある。実際、5年ほど前には様々な「定説」を実験により検証するアメリカの、ある人気番組で実証された。その番組の中で、超高速度カメラが捉えたくしゃみの平均時速は60キロメートル。飛沫の飛距離はおよそ4~5メートルにも及んだ。「飛沫感染」を侮ってはいけないのだ。
くしゃみによる騒音や風邪等の感染で大切な人間関係を壊さないためにも、くしゃみをする際には口元をハンカチやティッシュ、マスク等で塞ぐことを心がけたいものだが「それはできない」「自分の力だけでは抑えきれない」という人もいる。その理由はどんなものだろうか。
▍くしゃみの音が大きくなる理由はいろいろ
実は、くしゃみの音を小さく抑えるためには多くの「肺活量」が必要となる。「肺活量」は息を一杯吸い込んだ後に吐き出すことができる空気の量のことだが、人間は歳を重ねるにつれ、この肺活量がどんどん低下していく。つまりご年配の方にはくしゃみの音量を抑えたくてもなかなか上手くいかない、自ら望んで大音量のくしゃみをしていないが、わざとしているだろうと思われ周囲から煙たがられて困っている人もいるだろう。
しかし、考えられる理由はこれだけではない。「加齢に伴うマナー・デリカシー意識の低下」もありうる。「家の中じゃないから思い切りやってもいいだろう」「私は高齢者として社会的に優遇されているから堂々とやってもいいだろう」「TPO(時・場所・場合)なんて気にしなくてもよいだろう」という思考を持っている人が、一定数存在しているのかもしれない。残念ながら、こういう思考を持つ人は若い世代から慕われるお手本には到底なれない。これは今すぐにでも改善しなければいけない。
▍こんなにある!くしゃみの音を抑える方法
くしゃみの音がうるさいことによって、周りの人々から嫌がられないようにするために、口を抑えるという方法の他にどうやって対策すればよいのだろうか。ここでいくつか対応策をご紹介しよう。
まず「口」でできる対策がある。くしゃみが出そうな時、多くの人に口を大きく開き息を大きく吸い込む傾向がある。これを逆手に取って音を抑えるのだ。くしゃみが出そうになったら口を大きく開けるのではなく、五十音の「い」行を発する時の口の形にするのである。また、一瞬息を止めてみるのも有効手段。くしゃみが出そうなタイミングでスッと息を止めることで、くしゃみをやり過ごすことができる。それができない場合は、息を吸い込むのではなく、逆にゆっくり吐き出すことを意識することでもくしゃみの音を抑えられる。
日頃からくしゃみの音を軽減するためのトレーニングを行うのも有効だ。これは肺活量を鍛えるトレーニングにもなるため、未来の自分の健康を守るためにも役に立つ。よく知られているトレーニング法として、空の500mlペットボトルの口を加え、強く息を吸い込んで吐き出すサイクルを繰り返す……という方法がある。また、道具を使わないものとしては思い切り息を吸って2~5秒ほど息を止め、次に息を全て吐いてから再び数秒息を止めるという方法もある。また、マラソンや水泳といった持久力が必要とされるスポーツを行うことも肺活量の向上に効果的だ。これらのスポーツの愛好者は是非、継続して取り組んで欲しい。
▍「咳エチケット」でスマートな人になろう!
近年は厚生労働省主導の啓発活動もあり、くしゃみの音を抑え、ウイルスの感染を防ぐためのマナー行動が「咳エチケット」と呼ばれ広く知られるようになってきている。くしゃみの音を抑えるトレーニングを行い、くしゃみが出そうな時にとっさに対策を行うことで、将来の自分自身に「咳エチケットをスマートに守る素敵な人」という「称号」を贈ることができるだろう。
「くしゃみを豪快にする人は大柄で頼り甲斐があってかっこいい人」という古き良きガキ大将的イメージが通用する時代はもうとっくの昔に終わっている。今は寧ろ正反対で、そういう人の方が敬遠される状況になっているのだ。今年も終盤に入って本格的に寒くなり、風邪を引く人が多くなる季節へと向かう。日頃からくしゃみの音を抑え、そして将来は「かっこいい」「美しい」「素敵」と思われるスマートなシニア世代に成長していこうではないか。